はじめに
オープンワールドゲームを語る上で、長年「当たり前」とされてきた仕様がある。それが「スタミナバー」だ。走れば減り、登れば減り、泳げば減る——あの小さなゲージに振り回された経験は、誰しもあるだろう。
しかし、『無限大Ananta』は、その「常識」に真っ向から挑戦している。移動はハイテンポで、スタミナを必要としない——この一文が、ジャンルの議論を再燃させている。
スタミナの是非について海外コミュニティで大きな議論を呼んでいるようだ。
Anantaが採用した「スタミナフリー」設計
『Ananta』は Naked Rainが開発し、NetEase Games Montrealが発売を担当するオープンワールドRPG で、舞台となる Nova City は広大な都市空間として設計されている。
注目すべきは、移動手段の豊富さだ。プレイヤーは水中を泳ぎ、走り、バイクや車に乗り、壁を登り、パルクールを行い、ロープや触手のようなもので超高層ビルの間をグラップリング・スイングできる。これは『Marvel’s Spider-Man』や『Prototype』のアレックス・マーサーに似た仕組みになっている。
そして、これらすべての行為にスタミナ消費がない。スタミナフリーの移動システムにより、途切れることのない探索が可能になっている。
なぜスタミナ廃止が「議論」になるのか
海外コミュニティで話題になっているように、スタミナバーは「移動の自由を制限する仕組み」として、近年プレイヤーから疑問視されることが増えてきた。
コメント欄を見ると、議論は大きく二つに分かれている。
スタミナ擁護派の意見:
- 『Breath of the Wild』のように、ゲーム世界を「敵対的」に感じさせる演出として機能する
- 探索の戦略性を生む(どの装備を持っていくか、どのルートを取るか)
- 「スタミナバー強化」というプログレッションの楽しみを生む
- 特定エリアへの到達制限として機能する
スタミナ不要派の意見:
- 戦闘外の走行に制限をかける意味がない
- マップを「広く感じさせる」ための水増しに過ぎない
- フローを断ち切り、ゲーム体験のテンポを損なう
興味深いのは、コメント欄で複数のユーザーが指摘しているポイントだ。「ガチャゲー業界で戦闘外スタミナを採用しているのは実質的に『原神』だけ」という意見が散見される。『鳴潮(Wuthering Waves)』『NTE』『エンドフィールド』など、近年の競合タイトルは軒並み戦闘外スタミナを廃止している、というのが現状認識のようだ。
Anantaにおける「スタミナフリー」の意義
『Ananta』のNova Cityは、単に「広い」だけの空間ではない。パルクール、壁登り、スイング機構によって到達困難な場所へアクセスできる動的な移動と、車・ヘリコプター・タクシー・バス・公共交通機関といった多様な乗り物が用意されている。
つまり、街そのものが「動き続けるための遊び場」として設計されているのだ。ここにスタミナ制限を加えてしまうと、Spider-Man的なスイング移動も、GTA的な街中疾走も、すべてが「ゲージとの戦い」になってしまう。
『Ananta』の設計思想は明確だ——「世界が面白ければ、プレイヤーは自発的に滞在する」。移動を制限することで滞在時間を稼ぐのではなく、移動そのものを楽しい体験にすることで、自然に街に留まらせる。これは、コミュニティの投稿者が指摘していた「世界が面白いと信頼している」という観察と一致する。
ジャンル全体への影響
『Ananta』のアプローチは、単独で生まれたものではない。2024年12月5日、NetEase GamesとNaked RainがNova Cityを舞台とする本作を正式タイトル『ANANTA』として再発表して以降、ジャンル全体で「移動の自由度」が再評価される流れが加速している。
海外コミュニティのスレッドで挙がっていた『Elden Ring』の例——「戦闘中のみスタミナを消費する」という設計——も、同じ流れの一部だ。スタミナという仕組み自体を否定するのではなく、「使うべき場所」と「使うべきでない場所」を見極める動きが、ジャンル全体で起きている。
まとめ:スタミナバーは「悪」なのか
結論から言えば、スタミナバーは「悪」ではない。『Breath of the Wild』のように、世界観と密接に結びついた優れた設計も存在する。
しかし、都市型オープンワールドという文脈においては、スタミナによる移動制限は明確に時代遅れになりつつある。Spider-Man的な爽快感を売りにする『Ananta』のようなタイトルにおいて、5秒走って3秒休むサイクルは、単なるフラストレーションでしかない。
『Ananta』は、ゲームデザインの問いを私たちに突きつけている——「あなたのスタミナバーは、本当にゲームを面白くしているか?それとも、ただ時間を稼いでいるだけか?」と。
リリースは 2026年を予定 しており、正式な発売日は今後発表される見込みだ。スタミナフリーの都市探索が、実際にどのような体験を生み出すのか——プレイヤーが実際に手にする日が待ち遠しい。
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