発表日: 2026年5月21日
情報源:ネットイース2026年第1四半期決算発表・アーニングスコール、および同社公式WeChatアカウントの発表
ネットイース2026年Q1決算電話会議で、開発中の『無限大Ananta』について経営陣が品質優先のためリリース時期は急がない方針と発表。具体的な発売時期や新映像などの開示はなく、開発継続の確認にとどまった。
1. 決算全体の概要(背景)
ネットイース(NASDAQ: NTES)は2026年5月21日、2026年第1四半期決算を発表した。
(※以下の円換算は決算発表日時点のレート 1人民元 ≈ 23.36円 に基づく概算値)
- 総売上高:306億元(約7,148億円)(前年同期比+6%)
- ゲーム及び関連付加価値サービス収入:257億元(約6,003億円)(前年同期比+7%)
- 粗利益率:69.4%
- Non-GAAP帰属純利益:113億元(約2,640億円)
- 現金保有高:1,675億元(約3兆9,128億円)(3月31日時点)
決算自体は『梦幻西游』『燕雲十六声(Where Winds Meet)』『Marvel Rivals』などの既存タイトルが牽引した形だが、注目すべきは新作パイプラインに関する経営陣のコメントであった。アナリストからの質問は『遺忘之海(Sea of Remnants)』と並んで、『無限大Ananta(中国名:無限大/Infinite)』に集中した。
2. 『無限大Ananta』に関する公式言及
2-1. アーニングスコールでのアナリスト質問
CICCのアナリストが、以下のような趣旨の質問を行った:
「最近、競合他社がAnantaに類似した新作をリリースし始めており、年内にはGTAクラスの大型作品も控えている。オープンワールドというジャンルでAnantaはどう競争を勝ち抜き、新規ユーザーを獲得していくのか?」
これに対する経営陣の回答が、今回最も注目すべきポイントとなった。
2-2. 経営陣の回答全文(要旨)
経営陣の回答は、大きく次の4つの柱に整理できる。
① 競争に対する姿勢 ― 「ゼロサムではない」
- 競争を回避するつもりはないが、より重視しているのは「差別化」である。
- 2026年のオープンワールドというジャンルは確かに混雑しており、プレイヤーの選択肢は過去最多。
- しかしこれは裏を返せば、ジャンルの上限が非常に高く、ユーザー需要が強いことの証左でもある。
- 業界の競争はゼロサムゲームではなく、優れた製品は市場全体を拡大する。固定パイの奪い合いではないという認識。
② 『Ananta』の差別化要因 ― 「都市型オープンワールド」
- Anantaは「都市型オープンワールド」というコンセプトを中心に構想されている。
- これは従来のオープンワールドRPGや、アニメ調アクションゲームとは根本的に異なる位置づけ。
- IP構築、ストーリー構造、ゲームプレイ設計のいずれにおいても、既存の作品に従わない方針。
- 構築しているのは「現代都市を舞台にした、没入感ある日常生活体験に駆動されるオープンワールド」。
- 競争優位の源泉は「マップの広さ」や「派手な戦闘システム」ではなく、「プレイヤーがその世界に本当に生活している」と感じられるかどうか。
- 具体例として挙げられた要素:ショッピング、社交(ソーシャル)、探索。これらすべてに強い「都市生活感」を持たせる点に真の差別化があると説明。
③ 開発状況 ― 「質を優先、リリース時期は急がない」
- 現在チームはゲームコンテンツのクオリティ向上に注力している。
- 製品成功の鍵は「発売タイミング」でも「競合数」でもなく、体験が十分に独自であり、十分に良く、プレイヤーに価値をもたらせるかどうか。
- 「平凡な製品を急いで出すよりも、時間をかけて正しく作り上げる」という姿勢を明確にした。
④ 位置づけの再定義 ― 「アニメゲームではない」
- 最も重要なメッセージとして、経営陣は明確に次のように述べた:
- 『Ananta』は伝統的なアニメ調ゲームではない。
- 目指すのは「都市型オープンワールド」というジャンルでの突破。
- 「仮想都市の中で自由に生活したい」というコンセプトに興味を持つプレイヤーを引き付けたい。
- そのため、アートディレクション、物語のトーン、ゲームプレイ設計のすべてが、より広いオーディエンス層に向けられている。固定された型に自らを閉じ込めない。
2-3. 締めのメッセージ
経営陣は最後に次のようにまとめた:
「ユニークな都市型オープンワールドというポジショニング、品質向上への絶え間ない追求、そしてゲームのオーディエンスに対する広く自由な構想 ―― これこそが『Ananta』の際立った特長だ。競争は確かに存在するが、我々は選んだ方向性に自信を持っている。」
3. WeChat公式アカウントでの言及
ネットイースの公式WeChatアカウントが発信した記事では、新作パイプラインに関して以下のように記載された:
「成長メイン群が引き続き力を発揮する中、ネットイースの新作パイプラインも着実に進展している。『遺忘之海(Sea of Remnants)』の最新テストはきわめて良好なフィードバックを得ており、5月28日に第3次テストを開始、現在はリリース前の最終準備段階に入っている。『無限大Ananta』も着実に開発中である。両タイトルとも全く新しいプレイヤー体験をもたらすことを目指し、業界の今後のトレンドをリードする可能性を持つゲーム方向性を探索しており、同社の新たな成長エンジンとなることが期待されている。」
ここで重要な点は、『Ananta』の名称は公式Q1財務報告書本体には登場していないことだ。情報源は決算電話会議(アーニングスコール)のQ&Aセッションと、WeChat公式記事に限定されている。
4. 今回の発表から読み取れるポイント
ポジティブな要素
- 開発は順調に進行中であることが確認された。
- 経営陣がAnantaを戦略上の重要タイトルとして位置づけていることが明確になった。
- 「アニメゲームではない」という発言により、競合タイトル群との差別化路線がさらに強調された。
- 「質優先」「急がない」という姿勢から、急ぎ足のリリースで失敗するリスクは低いと読める。
不明・限定的な点
- 具体的なリリース時期は明言されていない。
- 新しい映像、新機能、新キャラクターなどの具体的なゲーム情報の開示はゼロ。
- コミュニティの一部(Redditなど)では「内容のない発表(nothingburger)」との反応も見られた。
- なお、JPモルガンのアナリストは過去に、Anantaがネットイース最大の売上タイトルになる可能性を指摘し、初年度売上を120億元(約2,803億円)規模と試算しているが、これはあくまで第三者予測である。
5. 今後の注目点
- 2026年内に控えるとされる夏のゲームイベント(Summer Game Festなど)での新情報公開の有無。
- 『遺忘之海』の5月28日テストの結果と、それに続くリリース動向。
- 競合作品(同時期にリリース予定のオープンワールドや大型作品)との市場でのポジショニング。
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